人気テレビアニメ『鬼滅の刃』第4巻DVD・ブルーレイの特典CDが、イスラム教アザーンに関わる音声の不適切な使用があったため出荷停止や回収になることが発表されました。
アザーンはイスラム教が音楽を禁止しているためミックスされることは神への冒涜とみなされ、今後は教徒と衝突が不可避になることも考えられます。
同様の事件はノラガミのときにも起きているため、制作会社側は市販の音声素材を使ったことを強調して法的問題がないとしていますが、世界にイスラム教徒は16億人もいるため事件に発展しないか気になるところです。
『鬼滅の刃』第4巻回収の理由は?
鬼滅の刃と言うと現在、非常に高い人気を誇る日本の漫画です。しかもアニメのクオリティの高さも人気に火を点けた要因の1つとされていたため、ブルーレイとDVDの発売を楽しみにしていたファンも多くいました。
そしてブルーレイとDVDの発売形態ですが、アニメ版の2話か3話を収録するというスタイルで1巻ずつ発売されていたのです。そんな中、今回問題が発覚したのが2019年10月30日に発売された、第4巻でした。
第4巻には特典として、サウンドトラックCDが同梱されています。問題はこの収録音源の中にイスラム教の音声に関する不正使用が発覚したため第4巻は出荷停止の上、回収する事となったのです。
鬼滅の刃 CD、イスラム教に関わる音声の不適切な使用があったことが判明して回収か
— killa@PP (@killa0410) November 23, 2019
ノラガミ ARAGOTOの時も同じようなことがあったよね
宗教って彷徨える人々の拠り所だから、イスラム教徒の人々が批判する気持ちはとてもわかる
それに異文化は、実際にその中へ入ってみないと理解は難しいんだよね…
そして不正利用されたイスラム教の音声というのが、アザーンでした。というのもイスラム教では、アザーンと一緒に音楽を流す事を明確に禁じているのです。
鬼滅の刃のサントラが炎上してる件
— flamingo (@oreniwa_sasuke) November 24, 2019
イスラム教徒を激怒させるのはまずい…w
ですが今回の音声はそんなイスラム教の禁止事項を完全に破っていたため、国内外のイスラム教徒から、イスラム教に対する侮辱、といった批判がSNS上を中心に噴出し騒動に発展しました。
事態を重く見た発売元のアニプレックスは、イスラム教徒に謝罪すると共に第4巻の出荷停止と、店頭からの回収を宣言したのです。
サウンドトラックではアザーンを音源として音楽をミックスしています。イスラム教の古典教義は楽器演奏や歌を禁じ、論理において神への冒涜と考えています。
問題のサウンドトラックは信仰告白の文句をランダムに切り取り、音楽とミックスさせたことで明らかに神への冒涜行為だと批判されています。
こちらが、そのサウンドトラック音源らしいです。
في إحدى أوستات أنمي #kimetsunoyaiba في الألبوم الثالث والذي صدر مع القرص الرابع للأنمي
— عبد الله كامل abdallah kamel (@kamel418) November 20, 2019
تم استخدام أجزاء من الأذان بشكل متكرر وهذا يزعجنا كمسلمين.
علينا مساعدتهم بإخبارهم لإصلاح الخطأ.
ونتمنى منكم نشر أنه لا يصح خلط شعائرنا الدينية بالموسيقى، لأنها تكررت من قبل في أعمال أخرى. pic.twitter.com/nclwUGQ4y9
イスラム教徒音声アザーンとは?
信仰告白は教義の根幹を端的に表現し、イスラム教徒が礼拝のたびに唱えることが特徴です。
イスラム教徒は夜明け、正午、午後、夕方、夜と1日に5回、礼拝を行わなければなりません。
その礼拝の呼び掛けとして使用されているのがアザーンであり、キリスト教で言う所の鐘、ユダヤ教で言う所のラッパの様な役割を担っているのです。
ただしアザーンは楽器等ではなく肉声で行われるのが特徴で、神は偉大なり、といった意味の語句から開始されます。必ずしもアラビア語で唱える必要はないとされていますが、アラビア語圏の国ではない場所でも基本的にアラビア語が使われているのです。
ただし現在の語句が定着化したのは、7世紀の半ば頃と言われています。更にかつてモスクの指導者が大声を使って、礼拝を報せていたのです。
ですが現在のモスクでは、スピーカーを用いて大音量で流される事が多くなっています。
アザーンはイスラム教徒に義務付けられた五行と呼ばれる儀礼行為で、第一に挙げられる信仰告白の言葉が含まれています。
信仰告白は教義の根幹を端的に表現しイスラム教徒が礼拝のたび唱える句であり、また異教徒が入信する際に唱えていることが特徴です。
アザーンとは、どんな音楽なのか?
出回ってしまった問題の音声ですが、重厚感のある音楽をバックにしてアザーンを叫ぶ声が流れるといったものです。
紛れもなくアザーンと音楽がミックスされており、イスラム教の禁止事項に触れる事は間違いありません。
しかもイスラム教において、これは神への冒涜にあたる行為となっています。同時にこの音声では、アザーンの語句が切り取られつつミックスされており、この行為も神への冒涜に当たるのです。
そのため教徒達からはその切り取りも意図的ではないか、との疑惑を生む事態にもなりました。
実際にはイスラムの法に対する無知から、この音声を制作してしまった様ですが大きな誤解を生む音楽である事は間違いないです。
まとめ
アザーンはイスラム教徒にとっては聖なる曲で、音楽とミックスさせたことで批判を受けています。
以前はノラガミのときにも同様の事件が起き、制作会社が知らずにやったとは言い難いとツイッターで非難を受けている音楽です。
近年ではイスラム教徒による事件も起き、アザーンの不適切な使用でも神の法を犯したものだとみなされて死に値すると言われて危険な状況です。
制作会社はイスラム教徒やイスラム教に対して冒涜する意図がないと釈明していますが、神への冒涜を重罪だと信じるイスラム教徒からは言い訳は通用しなくて衝突が不可避になると言われています。
テレビアニメの鬼滅の刃は有名な作品ですが、意図的にアザーンを使っていたとなればイスラム教徒との衝突が避けられないことになります。
音楽はオリジナルのものを選ばないと法にふれやすく、今後の動向がどのようになるか注目されるところです。