持続化給付金の対象である収入が今までは「事業所得」を対象にしていましたが、経済産業省の判断では、本業として事業を行ったフリーランス(個人事業主)がその所得の収入を「雑所得」や「給与所得」として計上した場合にも申請を拡大するという方向性で議論が進んでいます。
拡大する必要があると話題になったこの「雑所得」という所得はどういった所得なのでしょうか?
この記事を読むと、事業所得と雑所得の違いやどんな職種のケースがあるか?今からでも雑所得から事業所得にすることが可能か?等を理解することができます。
事業所得と雑所得の違いは?
フリーランス(個人事業主)の収入は原則、「事業所得」に分類されます。
国税庁のHPでは、
事業所得とは、
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得
と、定義しています。
では、雑所得はどうでしょうか?
雑所得とは
他の9種類の所得(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得)のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。
と定義されています。
定義上にははっきりと記載はされていませんが、簡単に説明すると
・事業所得は本業
・雑所得はそれがなくても生きていける何にも当てはまらない所得
と言えます。
雑所得はどんなケースか?
では、より具体的に雑所得に当てはまるにはどのようなケースがあるでしょうか?
上記に記載したものを含め例として挙げますと、
- 公的年金等
- 非営業用貸金の利子
- 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
- 講演料
- 放送謝金
- FXの利益
- 仮想通貨取引の利益
- インターネトオークションやフリマでの販売利益
- アフィリエイト収入(副業としての)
などがあげられます。例えば、サラリーマンが副業で行うアフィリエイトは雑所得ですが、本気でブロガーとして収入を得ている人は事業所得です。
つまり、これらの例は「事業として行っている場合」を除きます。
雑所得と事業所得はどちらが得?
さて、そこで雑所得と事業所得ではどちらのメリットが高いでしょうか?
実は「事業所得」のほうが比べるまでもなくメリットが高いのです。
事業所得では
- 青色申告特別控除が受けられる
- 他の所得(不動産・総合譲渡・山林)で損失が出た場合に補填することが出来る
- 青色申告をしていれば損失額を3年間繰り越せる
- 青色申告をしていれば30万円未満の資産を一括で経費に入れることが出来る
このようなメリットを享受できます。
対して「雑所得」の場合はこういったメリットは何もありません。
とはいえ、雑所得を選ぶより事業所得を選べるかというと、所得を選ぶことは出来ません。
当てはまる所得で申告をするのが正しい申告の仕方ですので、参考までに知っていて頂ければと思います。
雑所得から事業所得にするには?
ただ、間違えて雑所得で申告していた!という場合に、雑所得から事業所得へ移行することが認められるための要件を考えようとした場合、税法上では基準が具体的にはありません。
そのような場合は、実務上で税理士事務所が判断している基準というものを優先させることは出来ると考えられるでしょう。
その事業所得として認められる基準とは、
「一定規模の収入が継続して得られること」
「相応の労力を要すること」
「人や設備を投入していること」
「職業として認知されていること」
「生活の糧となっていること」
です。
これらに当てはまるものであるのに、雑所得で申告をしていた!という人がいたら事業所得へ過去の所得税の申告書を修正申告することもできます。
または、次の事業年度からは事業所得として申告してもよいでしょう。
まとめ
持続化給付金で話題になった「事業所得」と「雑所得」の違いはいかがでしたでしょうか?
これを機会に自分の所得や税金に対しての知識を深めて、納めた税金をいかに政府が使っているかまで是非しっかりと見てみてください。