コロナウィルスの影響で各地でアーティストによるコンサート(ライブ)が中止になってしまっています。
このライブが中止になることにより主催者、いわゆるアーティスト側にどれだけの損害が出るのか?
中止を余儀なくされたノンラビことNon Stop Rabbitさんが下記のツイートをしていました。
ライブを中止する事となりました。
— 田口 達也【ノンラビ】アルバムオリコン1位獲得👑 (@Ace8trriger) February 26, 2020
コロナウイルスに感染していなくとも、生活が困難になる事実を政府に届けたい。 pic.twitter.com/Xug29souav
上記のメッセージを読むと、豊洲ピットで本来ライブが開催されていれば、1200万円以上の売り上げで、200万以上の黒字になると言うことです。
しかし今回のコロナウィルス影響による政府の要請で、中止になったことによりどれくらいの赤字になるのか?
過去にライブイベントなどの制作運営に関わっていたので、概算を考察してみました。
目次
ライブ(コンサート)の売り上げは?
下記の概算は、あくまで考察になります。
大まかにライブ収益は、チケット代とグッズ代になります。あと協賛がいる場合はスポンサー料も入ります。
まずはチケット代のみで損益を考察してたいと思います。
まず中止になった豊洲ピットで開催のNon Stop Rabbitさんのライブのチケット代は4300円となっております。
豊洲ピットのキャパはスタンディングで3105名の会場になります。
チケットが例えば、3000枚販売して全部売れたとしたら、3000人×4300円でチケット代の売り上げが1290万円と言う計算になります。
※上記はあくまで、例としての概算になります。実際はそのアーティストのライブ制作により前後はあります。
ライブ(コンサート)開催費用の内訳は
次にライブ開催にあたって、主宰者(アーティスト)側が支払う費用はどのくらいになるのか?過去に関わっていた経験から、大体の概算を見積もってみました。
会場費
まずは会場費です。ライブ(コンサート)を開催するには会場を借りなければなりません。
豊洲ピットの場合、3/1日曜日開催でドリンク有の場合、会場費は140万円となります。
ステージ演出費用(照明・音響・映像)
次にステージ演出費用です。基本的に演出は大きく分けて、照明会社・音響会社・映像会社の3つの演出チームから構成されてます。
照明・音響・映像の機材代と演出するチームの人件費が莫大な費用となります。ステージ演出費用だけで、700万〜800万ぐらいはかかります。
ライブで使用する機材はとても高価な備品ばかりです。
特に人件費は、ライブ(コンサート)の演出スタッフは専門技術になる為、誰でもできるわけでは有りません。演出は高度な専門職なので人件費一人の単価も数万円レベルと非常に高いです。
特に舞台監督などはライブの規模によっては1日20万〜30万のギャラになります。
特にツアーとなると半年〜1年前からそれぞれの演出チームの人員のスケジュールを押さえている訳です。ライブが中止になると、機材費と人件費にキャンセル料が発生してしまいます。
特に、日程間近〜当日の中止になればキャンセル料が80%〜100%になります。
運営費
運営費は、ステージ演出とは別に、会場の案内スタッフやチケットのもぎりのスタッフさん、物販を担当する人件費が主な費用になります。学生の方がよくアルバイトで会場の案内をしている姿はみたことあるのではないでしょうか。
運営人件費もスタッフ派遣会社に頼むので、大体一人当たり15000円から20000円ほどの人件費になります。豊洲ピットの運営スタッフ数が50人で一人20000円としたらそれだけで100万円の費用になります。
その他運営備品等、諸々費用が加算されます。
こちらも同じく、間近で中止になると人件費のキャンセル料は80%〜100%になります。
グッズ製作費
アーティストのTシャツやタオルもグッズ制作会社に発注します。例えば、グッズの発注に100万円の費用をかけたとします。
アーティスト側も会場に足を運んでくれたファンを喜ばせる為に、沢山グッズを売ってグッズ収益が黒字になるケースが多いです。グッズ販売は、基本的に薄利多売です。
ライブが中止になったことにより1つもグッズが売れなかったら、100万円丸々損をしてしまうと言うことになります。
製作費
上記の費用(会場費・演出費・運営費・グッズ代)と準備期間にかかる費用があります。
ライブを開催するにあたってイベンターの製作費ですね。
会場の押さえ・演出チームの会社の手配・運営会社の手配・グッズの発注など準備するのに打ち合わせ等の準備期間があります。
準備(制作)をするスタッフさんの給料も費用がかかります。
全ては、本番当日の為に何ヶ月も前から動いている訳です。
準備期間と損害額を考えると簡単に中止にできない
全ての費用を合算すると1000万近くかかる計算になります
このような仕事に関わった経験のある身としては、上記の費用と何ヶ月も準備を重ねてきたスタッフさんの事を考えると、政府の一言だけで簡単に中止にはできないと言う事です。
アーティストさんだけでなく、関わっている関係者の生活もかかっているのです。
ノンラビの言う事は正しい
— ⓡ:Er.かず爺@相方徹/嶺✞G: (@Sao0107Kazuki) February 26, 2020
アーティストだけじゃない
イベント業自体も大損
どこまで見据えてるんやら。
ノンラビの話聞いたらなんかもうチケ代払い戻さなくていいよって気持ちになるよね()
— リン🏠 (@rincha_smk) February 26, 2020
決行すればいいんじゃないか?という意見、中止で良かった意見、無観客でライブ有料配信意見それぞれあるけれど決行は絶対止めた方がいい、決行して感染拡大して自分自身が感染して死ぬという道はアーティストの方々は望んでないはず…苦渋の選択なのはお察しいたします。
— Ω北条雹Ωクレスト🍀年度中閉鎖予定 (@0419Knights) February 26, 2020
負けないでくださいね。
このノンラビさんのツイッターのメッセージにライブ当日を迎えるまでの想いが凝縮されていると感じます。
最後に
中止にするか否かは、それぞれのアーティスト・主催者にかなりの葛藤があり、苦渋の決断だったと思います。
特に独立していて、会社を立ち上げているアーティストは、ライブ1本でも社運を賭けた案件になります。その会社の収益が本番1日に凝縮されてると言っても過言ではないです。簡単には中止にできない事情があるのです。